DA PUMPのU.S.A.の歌詞を考察する 完全版

巷で話題のDA PUMPのU.S.A.。youtubeの動画が公開されて話題になり始めて早1ヶ月強。

ついに楽曲の正式リリースを迎え、テレビ露出も増えて、わかりやすいくらいにブームを巻き起こしていますね。

 

僕も YouTubeを見て、衝撃を受け完全にやられてしまったのですが、世間での受け止められ方と自分の感じ方にギャップがあったので、約1ヶ月前に自分なりにU.S.A.の歌詞を考察した記事を書かせていただきました。

曲のヒットの影響もあり、その記事は結構多くの人に読んでいただけたようで、共感の反応も得られました。そんな中で、最近似たような考察記事をネットで見かけるようになったので、前回触れなかった曲の後半部分の歌詞についても改めて他のサイトより深く考察しようと思います。

 

一部の内容は前回記事のコピペ、加筆修正だったりしますが、悪しからず。

 

まず、このU.S.A.という曲は、数十年前アメリカの文化に憧れを抱いていた日本人のガキンチョが、成長してアメリカの文化に対して対等に挑戦し、さらには挑発していく物語だということを先に述べておきます。

 

それを踏まえて、歌詞を順に解説していきましょう。

 

U.S.A. オールドムービー観たシネマ
U.S.A. リーゼントヘア真似した
U.S.A. FM聴いてた渚
U.S.A. リズムが衝撃だった

 

これは主人公の少年がアメリカに対し憧れを抱くきっかけとなったファーストコンタクトを歌っています。数十年前のネットもない時代。海外の情報は限られた媒体でしか入ってこない時代に映画で観るアメリカに憧れ、ムービースターの髪型を真似したり、アメリカの音楽を聴くためにラジオでFMを聴いたりしながら、それに衝撃を受けのめり込んでいったわけです。

 

数十年でリレーションシップ
だいぶ変化したようだ
だけれど僕らは地球人
同じふねの旅人さ

 

ここで言うリレーションシップというのは、漠然とした日米関係や日本とアメリカの立場だけではなく、主人公のアメリカの文化に対する意識やスタンスの変化であるということが重要です。"変化したようだ"という表現は第三者的な立場から見た表現に思われますが、自分とアメリカの関係性を客観的に評していると捉えた方がしっくりきます。つまり、数十年前映画やFMラジオを聴いて、まだ見ぬアメリカに憧れて真似をしていただけの少年が成長して、自分の世界を広げアメリカの文化と対等にわたりあえるようになったということです。

 

そして、そこからの!

 

Come on,baby アメリ
ドリームの見方をinspired
Come on,baby アメリ
交差するルーツ タイムズスクエア
Come on,baby アメリ
憧れてたティーンネイジャーが
Come on,baby アメリ
競合してく ジパング

 

この部分は、アメリカに憧れていたティーンエイジャーがシンガー、ダンサー(DA PUMP)としてアメリカのエンターテイメントと競合できるまで成長したぜ!日本にルーツを持ちながら戦っているぜ!という宣言に他なりません。そして、ここで言うBabyというのは、この曲を聴いている僕たちリスナーに対する呼びかけなどではありません。あくまでもアメリカ!USAに対する問いかけなのです!つまり、このストーリーの主人公は日本でエンターテイナーとして成長した今、アメリカに対して親しみを込めて「ベイビー!もっと来いよ。アメリカ!」と、呼びかけ、挑発しているのです。「お前に憧れていただけのガキだった俺は今ここまで成長したぜ!お前ももっと来いよ、俺にもっともっと刺激、インスピレーションをくれよ!!」

 

最高じゃないか!

 

僕も小学生くらいの頃から、洋画の中で観たアメリカに強い憧れを持っていました。僕の場合、Back to the FutureやE.T.がきっかけだったと思います。その頃の自分の意識って、海の遠く向こうにこんな世界があるんだっていう漠然とした理解と少し現実味のない憧れだったと思います。僕の場合はその後、興味の中心はブラックミュージック、ヒップホップカルチャー、やポップカルチャーに移っていきましたが、常にアメリカは憧れの対象でした。そして、いつしか僕も自分で絵を描いたり、デザインをしたり、ただの憧れてるだけのガキンチョから自分なりに表現をするアマちゃんになりました。そして、そんな今でもアメリカのカルチャーは僕にとって常に刺激的なものです。

 

僕はアマチュア、趣味で絵を描いたりしているだけだけど、何もわからないでただ真似事をしていただけの頃よりは自分なりの表現をできるようになった部分はあると思っています。この曲を聴いていて僕は自分のことを重ね合わせ、胸が熱くなるものを感じたのです。

 

ここまでが、前回の記事でも述べたところになります。ここから曲の後半部分についても考察していきましょう。

 

U.S.A.  ツイスト踊ったフロア
U.S.A.  ミラーボールに恋した
U.S.A.  仲間の中古のオープンカー
U.S.A.  あのこは髪なびかせた

 

さぁ、ここから主人公は成長を見せつけてきます!最初のAメロ部分が10代前半頃のアメリカ文化とのファーストコンタクトからのまだ見ぬ憧れだったのに対して、ここでは10代後半から20歳前後になり、より能動的にアメリカの文化と触れ合う主人公の姿が描かれています。映画のスクリーンに映る世界、FMラジオから流れる音楽。メディアを通しての見聞きする体験でしかなかったのに対して、ミラーボールの回るクラブでダンスをしたり、決して安くはない中古のアメ車を乗り回して仲間と遊ぶ姿から主人公の成長を感じるわけです。

 

そして、「あの子は髪なびかせた」というフレーズ。僕がこの曲の歌詞で一番好きなフレーズです。最初のうちはここを聴いたとき、すごくいいなぁと感じると共に違和感も感じており、その理由がいまいちわからなかったのですが、聴き返しているうちに理由がわかってきたので説明していきます。

まず、この歌詞の意味を考察する上での前提として詩の基本構造を理解しないといけません。

 

U.S.A. ツイスト踊ったフロア
U.S.A. ミラーボールに恋した
U.S.A. 仲間の中古のオープンカー
U.S.A. あのこは髪なびかせた

 

この部分、前半と後半が対になっていますね。フロアで回るミラーボールとオープンカーに乗るあの子。ここが対の関係になっているので、主人公が"あの子"に恋していることが、言わずとも伝わってくるのです。

そして、これまで主人公が憧れたり、恋してきたものは、映画で見たスター、ラジオから流れる洋楽、クラブやそこで回るミラーボールやアメ車のオープンカーだったのに対して、"あの子"というのは日本人の女の子なのです。仲間のひとりなのだから、"あの子"も主人公と一緒で洋楽やダンス、アメリカの文化が好きなのだと想像してしまいますが、"あの子"はアメリカ人ではなく日本人。主人公は同じ日本人の女の子に恋をしたのです。つまり、ここで憧れのアメリカの世界と主人公の周囲の現実世界が実体験としてオーバーラップする訳です!

 

僕は10歳くらいの頃にヒップホップを聴くようになりました。そして、そこから何年か経って初めてクラブに遊びに行った時は、憧れていた現場に触れ興奮したのを覚えています。また、先輩や友達とイベントを始めたときの興奮も、初めてクラブでライブペインティングのパフォーマンスをしたときの緊張も忘れられない思い出です。そして、そんな中で同じ趣味趣向を分かちあえる仲間ができて、その中の1人の女の子に恋をする。自分にもそんなようなことがあったでしょうか・・・。まさに青春ですね。

 

パシフィック・オーシャン ひとっ飛び
ハートはいつもファーストクラス
夢というグラス交わし
Love and peace 誓うのさ

ここで主人公は初めてアメリカの地に実際に足を踏み入れます。それまではメディアを通して見聞きしたもの、アメリカのものを模して作られたクラブ、輸入された中古のオープンカーだったのが、本物のアメリカの文化を体感していくわけです。アメリカに初めて行くとき、最初はなけなしのお金の貧乏旅行かもしれません。実際エコノミークラスで10時間以上かかるけど、気持ちは高ぶっていて時間はあっという間に感じられるし、気分はファーストクラスさっていう話です。

 

そして、この後の部分は解釈が難しいのですが、まずグラスを交わす相手が誰なのかというのが問題です。その答えは、おそらくアメリカという解釈で良いのではないかと考えています。主人公がアメリカンドリームを夢見て挑戦する際に、郷に入っては郷に従えで、アメリカに対してアメリカのスローガンであるところのラブ&ピースを誓うということでしょうか。

 

そして、

C'mon, baby アメリ

サクセスの味方 organizer
C'mon, baby アメリ
ニューウェーブ寄せる ウェストコースト
C'mon, baby アメリ
どっちかの夜は昼間
C'mon, baby アメリ
ユナイテッドする 朝焼け

 

アメリカンドリームという言葉があるように、アメリカという国は誰にもチャンスが均等にあり、努力が報われやすい土壌、サクセスに味方してくれる国と言えます。

そして、次の

どっちかの夜は昼間

ユナイテッドする朝焼け

という部分は世間では意味がよくわかんないけど、印象的ということで面白がられているフレーズですね。

ここも解釈が難しいのですが、まず日本とアメリカ、どっちかが夜なら、もう一方は昼間になります。そして、時差からすると日本で朝焼けが見えるときにアメリカの場所によっては同じ太陽を夕焼けとして見ることができる訳ですね。朝焼けと夕焼けとで日本とアメリカとがユナイテッド結合するのです。ある意味、阿倍仲麻呂が中国で月を見て、故郷を思って詠んだ"天の原 ふりさけ見れば 春日なる  三笠の山に 出でし月かも"にも通じる表現と言えます。

つまり、映画のスクリーンの中だけで見る夢のようなアメリカから日本と同じ地球上に現実に存在するアメリカという、この曲を通してのテーマ"子供の頃、遠い存在であり、憧れの対象だったアメリカは、僕が成長することで現実的なライバルとしてのアメリカに変わった"という物語を象徴している表現なのです。

 

いかがだったでしょうか?

 

自分の思い出と重ね合わせ、強引に解釈している部分もあるかと思いますが、大筋としては

日本に生まれてアメリカの文化に憧れていた少年が成長して、日本でアメリカのカルチャーと競い合えるようなアーティストになったぜ!これからももっと俺に刺激をくれよ、アメリカ!

という、アメリカに対する愛と感謝、そしてライバル宣言をも含んだ熱い熱い歌詞だということです。

 

なんだか耳についてやみつきになるけど、歌詞は意味不明でダサくて面白いとか言われているようですが、意味不明なことはないです!この歌詞がダサかっこいいとか、表面上だけを捉えて語られてしまうのは、残念で仕方ないです。

めちゃくちゃカッコイイ物語がUSAの歌詞にはあるのです!!

(個人的な見解ですが、、、)